Masakazu Natsuda Videos
japanischer Musikwissenschaftler, Dirigent und Komponist
- zeitgenössische klassische Musik
- Japan
- Dirigent, Musikwissenschaftler, Komponist
Letzte Aktualisierung
2024-05-19
Aktualisieren
Natsuda Woo Kazuhiro Koizumi Tokyo Symphony Orchestra 1916 1982 2014
Shoko Natsuda+••.••(...)~2014.9.18): Ballade II (Inori) for violin and string orchestra Chan-woo Chung, violin Tokyo Symphony Orchestra Kazuhiro Koizumi, conductor 夏田鐘甲+••.••(...)~2014.9.18): バラードII(祈り) (ヴァイオリンと弦楽のための) 丁 讃宇(ジョン・チャヌ)(ヴァイオリン) 東京交響楽団 小泉和裕 (指揮) 1982 Live
《Élegie, pour violon et piano》(2022) ヴァイオリンとピアノのための「エレジー」 演奏:ROSCO (甲斐史子 Fumiko Kai, violin & 大須賀かおり Kaori Osuga, piano) ROSCO結成20周年記念リサイタル+••.••(...) 東京オペラシティ・リサイタルホール)にて収録 映像制作:後藤天 ここ数年、人間の情緒や感情に(も)訴える音楽を書きたいと思うようになってきた。19世紀のクラシック音楽が全面的にこれに取り組み、あまりに見事な成果をあげていたため、20世紀の音楽ではそれはむしろ忌避すべきものとされ、音楽構造の刷新や構築のための方法論の模索、音色や素材の探求に力が注がれて来た訳だが、しかしそれでもなお音楽が誰かに聴かせるために書かれ、奏でられるならば、そこに情緒や感情の働く余地が殆どないというのもまた不自然なのではないか?ましてヴァイオリンは、言葉にできない人間の心の内を吐露するのに極めて長けた楽器でもあるのだから。 作曲に際しては、4分音も用いるヴァイオリンと12平均律のピアノを統合するための非オクターヴ旋法を予め用意した以外、コンセプトや道行きは何も決めず、少しずつ音とフレーズを紡いでいった。当然そこには多くの逡巡や迷いもあるが、それもまた音楽の要素たり得よう。「旋律を書く」ことは私にとって一貫して主要なテーマの一つなのだが、これまでの楽曲ではそのメロディは概して幾分”ニュートラル”なものであった。ROSCOの委嘱で作曲し、その結成20周年記念リサイタルにて初演されたこの楽曲ではもう少し踏み込んで「ものを言う」旋律となっている。2019年から20年にかけてROSCOのアイヴズ・ソナタ集の録音や演奏会に立会った経験が反映されている気もする。 上述の非オクターヴ旋法の響きが思いがけず憂いを帯びた悲劇的な色調であったので、曲の基調となる雰囲気が決まり、斯様なタイトルをつけた訳だが、かと言って作曲当時の私が特に何かを悲しんだり憂いていた訳ではない。(葬送行進曲を情感たっぷりに奏でる演奏家が、実生活で常にそのような状況にある訳ではないように。)しかしながら誰の中にも宿る様々な思いや情感を掬い上げて作品やパフォーマンスに活かせるのは表現行為の良いところでもあろう。ここにあげた初演時のROSCOによる演奏も、作曲家がスコアに書き表せた内容をはるかに凌駕する素晴らしいものであった。
《Composition avec deux figures~Hommage à J.S.B.~, pour 9 instruments》(2013) 9楽器のための「2種の形象によるコンポジション ~J.S.B.へのオマージュ~」 演奏:木ノ脇道元・多久潤一朗(Fl.) 鈴木生子(Cl.) 佐藤まどか・竹内弦(Vn.) 甲斐史子・花田和加子(Va.) 松本卓以(Vc.) 大須賀かおり(Pf.) 夏田昌和(Cond.) 夏田昌和個展 +••.••(...) 東京オペラシティ・リサイタルホール)にて収録 映像制作 : ZIPANGU PRODUCTS Co.,Ltd. この作品は題名にもあるように2種類の、何れも4つの異なる(相対的)音高によって作られるフィギュール (=形象 / バロック時代を中心とする音楽修辞学では、特定の事物や概念、心象を音の動きによって模倣もしくは象徴的に表したもの指す) を専ら用いて作曲されている。 第一の、中心的に用いられるフィギュール(α)は、それぞれ高さの異なる4つの点を途中必ず折り返しながらジグザグに結ぶもので、形状の上で全部で10種類のヴァリエーション (例えば低い方から4音を順に1,2,3,4と命名すればこれらによって可能なジグザグ音型は1-3-2-4、1-4-2-3、2-3-1-4、2-4-1-3、3-4-1-2の5つとその反行形5つの合わせて10種類となる) が存在し、この楽曲ではその全てが計画的にほぼ満遍なく使用される。ジグザグの4音フィギュールの典型は西洋の古典音楽、特に宗教音楽においては十時(架)の象徴としてしばしば用いられる形象 (先の例によれば3-2-4-1の形が多い) で、有名なバッハの名によるB-A-C-Hのモティーフもそのうちの1種類 (同じく先の例によれば2-1-4-3) に相当する。(この楽曲においてB-A-C-Hモティーフは形象のタイプとしては勿論のこと、音名象徴としても一度だけ直接的な形でクラリネットで奏される。) 第二の、この作品においては副次的に使用されるフィギュール(β)は、直線的に順次下降してくる4音 (先の例に倣えばd-c-b-a) によるもので、但しその下行音程の幅は非常に狭い1/4音からピアノの全音域に亘る著しい跳躍音程に至るまで、またその速度も緩急様々である。必ずしも常に4音とは限らないが、このような下降モティーフも私の音楽では非常に馴染みのものである。 以上2種類の、それ自体としては抽象的な存在であるフィギュールは、様々な楽器(音色)、音域帯、音高組織、リズム、ディナーミク等と結びつき、楽曲における具体的な種々の楽想やジェスチャーへと結実する。 楽曲冒頭に提示されるこの作品における主要楽想〈A〉は、フィギュールαをピアノ、3つの木管楽器、5つの弦楽器という3群において展開するもので、作品の音楽的時間を分節し、かつその横軸となって全体をまとめあげる役割を有している。音価(速度)において一定不変のピアノに対し、始めは急速であった木管楽器群は次第に速度を落とし、反対に始めはゆったりと弛緩していた弦楽器は徐々に速度を上げつつ、遂に3者はその15回目の提示以降、単一の速度へと統合されてゆく。 これ以外で比較的持続的な性質をもち、時として単独で一つのセクションを成すものとしては、副次的楽想〈B〉----フィギュールαによる。ヴィオラとフルート、ヴァイオリン各々2楽器ずつ3つのグループによって展開する速度比5:8:13のカノン。全曲中で4回登場するが、楽曲の中で最も協和的に響くこの部分のハーモニーの基音(ピアノによって鳴らされる)は、それぞれE♭-E-D-Fと非常に大きな時間単位でジグザグ音型 +••.••(...)型)を成す----や、副次的楽想〈C〉----楽曲の半ば以降に何度か登場する3連符(スコア上は12/8で表記)が印象的なgiocoso (楽しげな) の楽想で、ピアノの和音はフィギユールαを描き出し、そこから下降してくる弦楽器のpizzicatoはフィギュールβとなっている---などが挙げられよう。 この3つを含め、この楽曲には瞬間的なものから持続的なものまで計15種類の楽想----装飾的な前打音群を伴うピアノ高音域のソロ、クラリネットとピアノにのみ現れる急速なアルペジオ(その頂点を結ぶとジグザク音型が現れる)、4分音を用いた再弱音クラリネットへのイレギュラーな最強音ピアノの介入、9人全員による瞬間的で激しい下降…etc.----がモザイク状に混ぜ合わされつつ順次登場、展開されるが、その全てはフィギュールαとβの何れかあるいは両方に由来するものである。二つのフィギュールは楽曲の終わり、静かなコーダにおいてA音上の協和的な響きのうちに最終的に一体となる。 「Composition」という音楽作品としてはあられもないタイトルは、むしろカンディンスキーなどによる抽象絵画のイメージをもって付けられたのだが、なお幾分かはこの単語がその語源----これとあれを共に(com)配置する(position)----において、ここで私が成した仕事の本質を的確に言い表していると思われたことにもよる。限られた素材から多様な存在の可能性を演繹的に導き出す創作姿勢は西洋器楽音楽全般、中でもゲルマン系の音楽に顕著な特徴の一つであろう。J.S.Bachの音楽----ここで私は例えば「フーガの技法」のような作品群を思い浮かべている----はそうした伝統の始まりではないにせよ偉大な到達点の一つであり、およそ3世紀を経て未だにその豊かな恩恵に浴する一人として(そしてまたその名を控えめに使用させて頂いたお礼として)このささやかな作品を彼へのオマージュとすることにした。
oder
- Zeitleiste: Komponisten (Asien). Dirigenten (Asien).
- Indizes (in alphabetischer Reihenfolge): N...